インプラントは、失った歯を補うための画期的な治療法です。
一般に広まったのは30年ほど前からですが、初めてインプラント治療が行われたのは1960年代と、50年以上前になります。
一般に広がるとともに、日進月歩で進化してきたインプラントの構造と寿命などについて解説します。
目次
■インプラントの構造
メーカーによって差がありますが、インプラントは基本的に3つの構造から成り立っています。
◎インプラント体
インプラント体とは天然歯でいうと根っこの部分にあたります。
ネジのような形をしていて、歯槽骨と直接結合されるようなデザインとなっています。
その人の歯槽骨の形状や厚みなどに応じて、直径や長さなどを選ぶことができます。
このインプラント体を骨の中に埋め込む手術をし、その上に構造物をたてることで歯の役割を回復します。
◎アバットメント
アバットメントとは、インプラント体と上部構造である人工歯をつなぐ役割をするパーツです。
一次手術において、インプラント体を埋め込んだ後、一度は上に歯肉がかぶった状態で治癒します。
二次手術においてそれを切開し、結合部分であるアバットメントを取り付け、その上に人工歯を取り付けます。
一度完成してしまえば外からは見えない構造となっています。
◎上部構造
アバットメントの上に取り付ける歯冠部分の構造物です。
こちらは歯科医院によって扱っている素材が異なります。
根管治療をした後のかぶせものであるクラウンと同じ役割なので、選べる素材も似ています。
メタルボンドやジルコニア、オールセラミックなどをその方の口腔内の状況に応じて選び、 失った歯の機能を回復します。
■インプラントの素材
特に素材に気をつけたいインプラント体部分は、チタンという金属が使用されています。
このチタンにはどのような特徴があるのでしょうか。
◎インプラント体のチタン
チタンは他の金属に比べてとても軽いという特徴があります。
軽いだけでなく強度に優れ錆びにくいという特徴もあることから、たくさんの医療現場で使用されています。
またチタンは他の金属に比べ非常に金属アレルギーを起こしにくく、無害であるという特徴があります。
金やコバルトクロムなども、人体との親和性は低くありませんが、インプラントに使った時にうまくいかなかったという歴史があります。
またアバットメントに関しては、チタンが使われることが多いのですが、その他チタンの合金やジルコニアなどが使われることもあります。
◎上部構造はセラミックなど
上部構造は特に素材はクラウンと同じような素材で作られます。
<その他チタンが活躍している場所>
・ 入れ歯
・ 人工関節
・ ピアスなど
■インプラントはどのように結合するのか
ではインプラントはどのようにお口の中で維持されているのでしょうか。
◎歯槽骨と直接結合する
インプラントは歯槽骨という顎の骨と直接結合することによってお口の中で安定しています。
歯槽骨と直接結合しやすいように、インプラント体面積を広げるためにネジのような形をしています。
天然歯はこの歯槽骨と歯根の間に歯根膜という膜を有しています。
しかしインプラントにはこれがないことから、歯周病になると非常に炎症が広がりやすい とされています。
◎天然歯と変わらないかみごこち
骨と直接結合しているため、天然歯と変わらないかみ心地を得ることができます。
◎寿命は「脱落した時」
骨と結合している部分以外の、上部構造やアバットメントが壊れても、修理して使い続けることができますが、インプラント体部分が脱落してしまうともう一度戻すことはできず、再手術となります。
そのため、インプラントの寿命はこのインプラント体が脱落した時とされています。
その寿命は10年程が多く、この期間は保証期間を設けている歯科医院も多いです。
【インプラントの詳しい説明を聞きたい方は歯科医院に相談を】
インプラントはとても良い治療法です。
その構造や素材などについても長年の研究がおこなわれてきました。
もちろん、特に知識がなくても、インプラントを埋入し使用することはできますが、構造や素材について知り、より安心して治療を受けられると良いでしょう。