歯の根っこの治療をしますと言われて、どのような治療をしているのか気になったことはありませんか。
歯の根っこの治療はむし歯が深くなった時に行います。
どのような術式で、どのようなゴールを目指して治療を行っているのでしょうか。
目次
■歯の根の治療とは?
◎むし歯が神経に達した時に行う
むし歯は、深さによってC0からC4という数字が当てはめられています。
数字が小さい方がむし歯は浅く、数字が大きくなるほどむし歯は深くなります。
神経に達したむし歯はC3という数字で表されます。
むし歯は細菌が歯を侵食することによって起こります。
一度細菌が歯の神経に入ってしまうと、細菌だけを取り除くことはできないため、歯の神経全体をとることになります。
◎神経がなくなってしまうと……
歯の神経は歯の内部の代謝物などを流し、健全な状態に保つ役目を担っています。
また歯に栄養を与える役割も担っています。
そのため歯の神経を取り除いてしまうと、そこには枯れ木が植わっているような状態になってしまいます。
神経がある歯よりも、とてももろく、折れたりかけたりしやすいのが特徴です。
◎細菌を完全に取り除くのが目的
神経を取らずに済むなら越したことはありません。
しかし、感染を起こしてしまうと、腫れや痛み、炎症が起こってしまうため、それらの影響を考えて取り除く必要があります。
神経を取り除いた後は、内部の細菌を消毒しなくてはなりません。
神経があった管、根管を完全に無菌状態にするのが根っこの治療の目的です。
■歯の根の治療の術式
◎歯を削る
根っこの治療はまず根っこに到達するために歯を大きく削らなくてはなりません。
またはむし歯を削っているうちに神経が露出してきてしまうというケースもあります。
まずは歯を削り、神経を露出させその下につながっている根管にアクセスします。
◎神経を抜く
神経を露出させたら神経を抜きます。
これを抜髄といいます。
リーマーというギザギザの針金のような器具を使って抜髄します。
神経を抜いたら根管の先まできちんとアクセスできているかを確認します。
根管の先は根尖といい、歯の一番先端の部分です。
根っこの治療ではここまで到達することがとても大切とされています。
◎根管拡大
根管の長さを測ると同時に、根管充填しやすいように拡大していきます。
根管の拡大は何回かに分けて行います。
根管充填の時に必要なため、根管の長さも同時にはかります。
◎根管の消毒
今回の拡大を何回かに分けて行いながら、中に消毒剤を詰め消毒を行います。
1ヶ月程度は根管を拡大し、その中に消毒剤を詰めるという治療を繰り返します。
消毒と根管の拡大は、時間のかかる部分です。
またこの1ヶ月程度という時間は、根管の消毒がうまくいった時の期間と考えると良いでしょう。
膿の袋がいつまでも取れない時は、さらに回数を重ねる必要があります。
◎根管充填
根管の消毒が終わったら、根管充填を行います。
これは根尖から再び細菌が入り込まないように、中の空洞と先端部分を塞ぐための処置です。
消毒効果のある薬剤と一緒に、細長いゴムのような材料を根管内につめ、細菌の再感染を防ぎます。
◎噛み合わせの回復
根管充填が終わったら、大きく削られてしまった歯質を補うために、コアという支台を立てます。
その上にかぶせものをし、割れやすくなってしまった歯質を保護して、噛み合わせを回復したら、その歯の治療は完了です。
【無菌状態にするのに時間がかかる】
根っこの治療は時間がかかります。
工程が多いだけでなく、消毒と根管拡大に時間がかかるのが特徴です。
神経を失ってしまうと歯質をもろくなってしまうというデメリットもあるため、むし歯は、神経に達する前に治療しましょう。