歯科医院で行うクリーニングとは、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具やペーストを使って、歯の表面や歯と歯の間に付着した歯垢や歯石、着色汚れなどを除去することです。自宅での歯磨きでは落としきれない汚れを取り除くことができるので、むし歯や歯周病の予防に効果的です。また、歯の色や輝きを改善し、口臭の予防にもなります。今回は歯科医院で行うクリーニングについてお話します。
■歯科医院で行うクリーニングのメリット
・むし歯予防
歯垢は細菌の集まりで、酸を生成して歯のエナメル質を溶かしてしまうことから、むし歯の原因になります。歯石は歯垢が硬化したもので、さらに細菌の増殖を促進します。歯科医院で行うクリーニングでは、歯垢や歯石をしっかりと除去することで、むし歯のリスクを低減することができます。
・歯周病予防
歯垢や歯石が歯ぐきに付着すると、歯ぐきが炎症を起こし、出血や腫れなどの症状を引き起こします。これが歯肉炎です。歯肉炎が進行すると、歯を支える骨が溶かされ、歯が揺れたり抜けたりする歯周病になります。歯科医院で行うクリーニングでは、歯ぐきに付着した歯垢や歯石を除去することで、歯周病の進行を防ぐことができます。
・歯の美しさを保てる
歯の表面に付着した歯垢やステインは、歯の色を暗く清潔感のない印象を与えることがあります。歯科医院で行うクリーニングで歯の表面を磨き上げることで、歯の本来の白さや輝きを取り戻すことができます。また、歯の表面を滑らかにすることで、着色汚れが付きにくくなります。
・口臭予防ができる
歯垢や歯石には、悪臭を発する細菌が多く含まれています。口臭の原因となる歯垢や歯石を除去することで、口臭を軽減することができます。また、歯科医師や歯科衛生士から、口臭予防に役立つセルフケアの方法やそれぞれに合った歯ブラシや清掃補助器具などを紹介してもらうこともできます。
■保険適用のクリーニング
歯周病治療の一環として行われるクリーニングで、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)に入り込んだ歯垢や歯石を除去することが目的です。歯周病の診断を受けた場合に、保険適用で受けることができます。費用は3割負担の場合で、1回あたり約3,000円前後です。
ただし保険を適用する場合には、予防目的または美容目的でのクリーニングは行うことができず、歯石の量によっては部位ごとに分けたり、数回にわたって行ったりする必要があります。
■自由診療のクリーニング
歯の表面や歯と歯の間に付着した歯垢や歯石、着色汚れを除去することが目的のクリーニングで、歯の予防のために行われPMTCともよばれます。
・スケーリング
歯の表面や歯と歯の間に付着した歯垢や歯石を、超音波や手動の器具で削り取る方法です。歯垢や歯石を除去することで、むし歯や歯周病の予防になります。
・フッ素塗布
歯の表面にフッ素を塗布することで、歯の再石灰化を促進し、むし歯の予防になる方法です。フッ素は歯の表面を強化し、酸に対する抵抗力を高めます。
・エアフロー
水と空気と微細なパウダーを混ぜたジェットを歯に当てることで、歯の表面や歯と歯の間のステインや歯垢を除去する方法です。これにより歯の表面を傷つけることなく、歯をきれいにすることができます。
・ブラッシング指導
それぞれの歯並びや口腔内の状態にあった歯磨き指導をおこないます。歯ブラシだけではなく清掃補助器具も合うものを選んでもらうことができます。
【定期的にクリーニングを行いましょう】
歯科医院で行うクリーニングは、むし歯や歯周病を予防するのに最適です。定期的に歯科医院でクリーニングを受けることで、健康で美しい歯を保つことができます。
「痛くなってから通う」では、大切な歯が次々に失われてしまいます。しっかり歯磨きをしているつもりでも、歯石はきれいに除去することはできません。定期的に通い、お口の中を清潔に保つことを心がけましょう。